デリケートゾーンのお悩み相談室

女性の体はまるで宇宙⁈女性ホルモンの神秘的な作用と働き

2022.02.03

女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があります。これらは女性の美や健康を保ってくれますが、実は「産後うつ」や「更年期障害」などの心のケアとも密接に関係しています。今回はそんな女性ホルモンの働きやホルモンバランスの整え方などについて紹介します。

女性ホルモンは美しさの鍵を握る

人の体には100種類以上ものホルモンが存在しますが、なかでも有名なのは女性ホルモンと男性ホルモンの2つです。女性ホルモンと男性ホルモンはそれぞれ「性腺(女性:卵巣、男性:精巣)」でつくられます。

 

男性ホルモンは声変わりや体毛、筋肉量を増やすなど、男性らしい見た目をつくるものとして知られています。女性ホルモンは乳房の発達など見た目の変化はもちろん、受精卵の着床を助けたり体温を上昇させたりといった外からは分かりにくい体内環境もサポートする働きがあります。

 

その女性ホルモンですが、男性ホルモンとは違い、分泌が“周期的に変化”します。普段の生理前の体の変化について思い出してみてください。例えば、「生理前は必ず体重が1㎏増える」、「生理前はニキビや肌荒れが気になる」という悩みがある女性は多いのではないかなと思います。

 

実は、これには女性ホルモンの「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が大きく影響しています。肌荒れの原因は人によってさまざまですが、プロゲステロンの働きによって皮脂分泌を増やすことでニキビができてしまったり、ホルモンの急激な変動によって起こるとされる「PMS(月経前症候群)」による心的ストレスで肌が荒れてしまったりといったことも考えられます。

 

また、プロゲステロンが妊娠状態を維持できるように水分をため込んでしまう性質をもっているため、むくみやすくなり体重が増えるといった現象が起こります。

 

このように説明すると、「女性ホルモンっていいところあるの?」と思ってしまいそうですが女性ホルモンには妊娠をサポートするプロゲステロンのほかにも「エストロゲン(卵胞ホルモン)」という女性の美容と健康維持に役立つホルモンも存在します。

 

エストロゲンは、生理の終わり頃から排卵期にかけて分泌されるホルモンです。コラーゲンの生成によって肌にハリや潤いを与えてくれたり、髪の成長を助けたりする効果があります。まさにエストロゲンは「女性の美しさの鍵」といっても過言ではありません。

 

また、エストロゲンには女性らしい体のラインをつくり、骨を強くするといった働きもあります。

 

このように、女性ホルモンは“妊娠のサポート”と“女性の美と健康を守る”役割を担い、女性の生理周期に沿って波のように日々分泌量が変化しています。だからこそ、この周期を乱れさせないことが大切なのです。

ライフイベントで変化する女性ホルモン分泌量

女性ホルモンは、一生のうちにティースプーン1杯ほどの量しか分泌されないといわれています。ごく微量でも女性の体には大きな影響を与えます。その増減は、主にライフイベントや年齢によって変化していきます。

 

日本人の初潮年齢は12歳頃といわれていますが、その頃からエストロゲンが増え始め、30歳頃でエストロゲンの量はピークに達します。その後、45歳~55歳の間に閉経を迎え、更年期に差し掛かる頃には女性ホルモンの分泌量は急激に低下します。

 

また、女性は妊娠すると赤ちゃんを守るために、女性ホルモンを緩やかに増加させます。しかし、出産後にはエストロゲン量は急激に減少してしまうため、抜け毛や肌の乾燥などに悩まされる女性は多いです。また、「産後うつ」といって抑うつ状態が続いてしまう現象もみられます。このようにライフイベントによってもホルモンバランスは変化します。

 

【年齢によるエストロゲンの変化】
◎10歳~18歳…性成熟期に向かってエストロゲンが増え始める
◎18歳~45歳…エストロゲンの分泌が安定する
◎45歳~55歳…エストロゲン分泌量が急激に低下、更年期障害になりやすい
◎55歳以上…血管、皮膚、骨のトラブルや病気に注意が必要

 

年齢による変化は上記のような流れが一般的ですが、近年では睡眠の質が低下することでエストロゲンの分泌量が乱れ、老化が早まってしまうという問題も指摘されています。

 

例えば深夜のスマホやPCのブルーライトが挙げられます。若いうちから夜遅くまで動画やSNSを見ていると、睡眠を司るホルモンのメラトニンがうまく分泌されなくなり、睡眠障害からホルモンバランスの乱れに繋がります。

 

このことからも分かるように「年齢によって女性ホルモンが減少する」とは、一概にはいえません。年齢だけではなく、規則正しい睡眠習慣や、バランスのとれた食事などの日常でできることを実践する必要があります。

 

女性ホルモンの分泌を促すには?ホルモンバランスの整え方

次に、女性の美容と健康、そして心の健康のためにも、ホルモンバランスを整えるためにはどのようなことを取り入れたら良いのかについて説明します。

 

まずは、なんといっても「睡眠習慣」です。昔から“お肌のゴールデンタイム”とされる22時~2時の間に深い睡眠がとれていると、女性ホルモンの分泌は安定します。仕事で帰宅が遅くなったり、夜更かししがちな人は少し意識して22時には布団に入るようにすると良いでしょう。

 

次に、「食事習慣」も重要です。
特におすすめなのは大豆食品です。豆乳や納豆、味噌、豆腐などを普段の食事に取り入れることでエストロゲンの働きを助けます。これは大豆が持つ「大豆イソフラボン」とエストロゲンの化学構造が似ているためです。女性ホルモンが減少してしまっても大豆イソフラボンが代わりに女性ホルモンと同じような働きを担ってくれます。大豆食品を取り入れながら、主菜・副菜・汁物といった基本的な和食中心の健康的な食事習慣を身に付けましょう。

 

女性ホルモンは「心の状態」にも影響

女性ホルモンは、女性らしい体や美と健康を保つだけでなく、メンタル面にも大きな影響を与えます。女性は排卵後エストロゲンの分泌量が減少した後は、次の生理に向けてプロゲステロンの動きが活発になります。このときにPMS(月経前症候群)や情緒不安定などのメンタル面の変化が生じる人が多いです。

 

また、顕著なのが「更年期障害」です。女性は閉経前後で体に不調が起きやすいといわれます。ほてり、発汗、のぼせ(ホットフラッシュ)、関節痛、頭痛、肩こり、不眠などがよく聞かれる症状ですが、このほかにも、情緒不安定やイライラ、抑うつ状態などに悩まされる例も少なくありません。これは出産直後と同様に、急激にエストロゲンが減少することによって起こる変化です。

 

誰にでも起こり得る変化ですが、まずは肩の力を抜いて日々頑張ってくれている自分の体を大切にすることが重要です。カラダが喜ぶ食事や、ゆっくりお風呂に浸かって体を温めリラックスしましょう。

 

女性ホルモンを味方につけることが大切

このように女性ホルモンは年齢や妊娠、出産などによって分泌の増減を繰り返します。また、女性ホルモンはメンタル面にも大きな影響を与えます。

 

女性ホルモンを味方にすることは、日々の中で感じる不調や気持ちの乱れが解消され、より女性らしく美しく、そして健やかに過ごすための近道になります。

 

一生のうちでたったティースプーン1杯分しか分泌されない女性ホルモンの存在が、毎日の自分自身の心と体の状態をつくっていると考えるととても神秘的です。

 

睡眠や食事習慣の見直し以外にも「よく笑う」、「ワクワクする」、「感動する」といった脳のドーパミンに作用するような習慣も女性ホルモンの分泌を促進させます。恋愛映画を観たり、好きな音楽を聴く、小さな目標を達成するなど、自分の脳が喜ぶ習慣も取り入れてみてください。

 

女性ホルモンはカラダの中で波のように常に変化していることを考えると、気分が落ち込んだ時やイライラしやすい時期でも「ホルモンの影響かな」と考えることができます。そんな時は、あなた自身の生活スタイルの中で様々な角度から自分自身を労わるきっかけとしてみてください。

 

監修 薬剤師 中田早苗

デリケートゾーンのお悩み相談室
デリケートゾーンのお悩み相談室
薬剤師/腸活・膣ケアサポート・ファスティング講師

中田 早苗

薬科大学卒業後、約7年間総合病院で病院薬剤師として勤務。その後、相談薬局にて予防医学の観点から薬を使わない健康法について患者指導を行い現在に至る。食事と生活習慣の見直しから得られる健康に興味を持ち、そのひとつとしてファスティングの魅力に感銘を受ける。便秘やアトピー、自律神経の乱れなどの悩みとファスティングに深く結びつきがあることを実感。現在までに100名以上のファスティングサポートを実施。

資格

薬剤師
ウエルネスファーマシスト(認定運動支援薬剤師)
ファスティングマイスター
美腸プランナー

AD

監修

薬剤師 中田早苗

デリケートゾーンのお悩み相談室

デリケートゾーンのお悩み相談室

薬剤師/腸活・膣ケアサポート
・ファスティング講師
中田 早苗

経歴
薬科大学卒業後、約7年間総合病院で病院薬剤師として勤務。その後、相談薬局にて予防医学の観点から薬を使わない健康法について患者指導を行い現在に至る。食事と生活習慣の見直しから得られる健康に興味を持ち、そのひとつとしてファスティングの魅力に感銘を受ける。便秘やアトピー、自律神経の乱れなどの悩みとファスティングに深く結びつきがあることを実感。現在までに100名以上のファスティングサポートを実施。

資格
・薬剤師
・ウエルネスファーマシスト
(認定運動支援薬剤師)
・ファスティングマイスター
・美腸プランナー