デリケートゾーンのお悩み相談室
【女性必見!】知っているようで知らない膣の働きについて詳しく説明
2022.03.24
「膣」は女性にとって一番大切な場所です。妊娠や出産、生理を含め一生涯お世話になるのが膣です。今回は、それほど大切な膣について、知っているようで、あまり知られていない構造や働きについて詳しく解説します。
目次
女性のデリケートゾーン
デリケートゾーンの場所といえば、大体どのあたりをイメージしますか?女性のデリケートゾーンは「膣」だけではありません。膣や膣まわりも含めてデリケートゾーンと呼びますが、膣以外の部位にもそれぞれ働きがあります。
まず、女性のデリケートゾーは、外性器と内性器に分けられます。
外性器について
外性器とは、膣の入り口周辺部分をいい、少々複雑な構造になっています。
膣前庭(ちつぜんてい)
膣前庭とは、以下で紹介する小陰唇の内側部分をいい、この部分には尿を排出する「外尿道口」、性的興奮により粘液を分泌する「スキーン線」と「バルトリン線」、「膣開口部」があります。
恥丘(ちきゅう)
恥骨結合部分の上部にある盛り上がった場所を恥丘といいます。思春期になると陰毛が生えてきますが、女性は恥丘部分から生え始めるといわれています。
陰核(いんかく)
小陰唇の前方にある突起部分で、血管と神経組織が集中した場所です。別名クリトリスと言います。
大陰唇(だいいんしん)
大陰唇は、女性の外陰部で脂肪に富んだ左右対称の壁のことです。内部にある膣口や尿道口を守る働きをしています。この部分は脂肪が多いと膨らみが目立ち、脂肪が少ないと、シワやたるみが目立ちやすい状態になります。
小陰唇(しょういんしん)
小陰唇は、膣口と尿道口の両脇にある薄い壁です。女性が性的興奮にないとき、小陰唇は閉じて性器を保護します。小陰唇は女性のデリケートゾーンの中で特に目立つ部分なので、黒ずみや形などを気にする女性は少なくありません。
会陰(えいん)
大小陰唇が合わさる部分から肛門までの中間にあります。伸縮性に優れます。
内性器について
外性器がすべて体の外側から見えるものであるのに対して、内性器はすべて体の内側にあります。
膣(ちつ)
膣開口部の内部を膣といい、子宮と繋がっています。膣内部にはヒダある粘膜が存在するため、伸縮性があるという特徴があり、出産時には赤ちゃんの通り道となります。
子宮(しきゅう)
赤ちゃんが育つ場所です。骨盤のほぼ中央部分に存在します。
卵巣(らんそう)
卵子を成熟させて、排卵を行う場所です。女性ホルモンは卵巣から分泌されます。
女性にとって一番大切な場所「膣」について
女性のデリケートゾーンのそれぞれの働きについて紹介しましたが、赤ちゃんの通り道でもある『膣』の働きについてここでは詳しく説明します。
【顔より皮膚が薄くデリケート】 膣の粘膜は傷つきやすくとてもデリケートです。
【垢が溜まりやすく蒸れやすい】 女性のデリケートゾーンの構造は複雑なため垢や排泄物などの汚れが溜まりやすいです。それにより雑菌が繁殖し、感染症やかゆみ、においの原因になります。
【乾燥はトラブルの元】 膣を含めデリケートゾーンの乾燥は黒ずみの原因になります。また、膣内の潤いが低下してしまうと膣内環境が乱れて自浄作用の低下につながり、免疫力が低下してしまいます。そして、乾燥は膣萎縮や性交痛に繋がることも考えられます。
【膣内は酸性環境に保たれている】 私たちの体はある一定のpHバランスに保たれています。pHとは、酸とアルカリの度合いを表す数値で、ピーエッチやペーハーと呼ばれます。
健康な肌の表面はpH:4.5~6.0の弱酸性環境に保たれています。それに対して膣内はpH:3.5~4.5の酸性環境に保たれています。酸性環境は、外からの雑菌を殺して、良い菌を健やかに保つことで健康な状態を保っています。
【経皮吸収率】 前腕の内側を1とした場合、膣の経皮吸収率はなんと45倍にもなります。体のあらゆる部位の中で最も高いとされています。座薬などの即効性の高い薬を肛門から入れるのは吸収率が高いことが関係しています。
男性のデリケートゾーンの特徴
まず、男性には女性のように膣や子宮、卵巣がありません。しかし、男性には女性にない前立腺や精管、陰茎、包皮、亀頭部、精巣(睾丸)などがあります。
男性のデリケートゾーンの特徴は、常に高い湿度であることが多く、蒸れやすい環境にあります。通気性の悪い下着を着用している場合は、より不快な蒸れが助長されてしまいがちです。
「膣」の大切な役割
膣の構造自体はそれほど複雑ではありませんが、月経時の経血や粘液の排出や、出産時には赤ちゃんの通り道になるという、女性にとってなくてはならない働きをします。
しかし、膣の働きはこの限りではなく、さらに大切な役割も担っています。
細菌の侵入を防ぐ
膣にある粘膜にはデーデルライン桿菌という乳酸菌の一種である菌が常在菌として存在しており、その働きによって膣内は常に酸性に保たれています。
この状態は、外部から侵入してくる細菌を防ぐために起こるもので、万が一細菌が侵入したとしても、膣内が酸性に保たれていれば、細菌は膣内で増殖することができません。
つまり、膣内が酸性に保たれることで、カンジダ膣炎をはじめとする膣トラブルを防ぐことができます。いわゆる自浄作用です。
しかし、膣内はとてもデリケートで、抗生物質の投与やストレス、体力の低下などでデーデルライン桿菌の数が減ってしまうことがあります。そうなってしまうと膣内の自浄作用が弱まってしまい、酸性環境に保たれていた膣内がアルカリ性に傾くと、女性特有の病気を発症するリスクが高まります。
そうならないためにも、内側からのケアとして健康管理をしっかりと行い、外側からは、デリケートゾーンの洗浄や保湿ケアなどをしっかり行う必要があります。
特に、小陰唇には恥垢(ちこう)と呼ばれる垢や汚れが溜まりやすいので清潔を心がけることが大切です。
膣を大切にする生活
抗生物質の投与などで、一時的に自浄作用が弱まるのは仕方がないことです。しかし、それ以外で、膣まわりのかゆみや蒸れ、おりもののニオイがきつくなったり、色が茶色っぽい場合など、普段とは違う変化を感じたなら、それは膣内環境が悪化している可能性が考えられます。
膣内環境が悪化すると以下の症状が現れることがあります。
- 外陰部にかゆみを感じる
- 外陰部に炎症がある
- おりものの色が濃い、いつもとは色が違う
- おりものの量が急に増えた
このような症状を少しでも感じた場合、デリケートゾーンのケアでそれらが解消できる場合があります。(ただし、症状が激しい場合は、医療機関を受診してください。)
専用製品による保湿ケア
デリケートゾーンケアに適した保湿アイテムを使用して、保湿ケアを行います。なお、外陰部やおりものに異常が生じると、つい気になってボディソープや石けんでしっかり膣内を洗いたくなるかもしれませんが、この方法はあまりお勧めしません。
なぜなら、ボディソープや石けんに弱酸性という表示があったとしても、強い洗浄成分が含まれているとデーデルライン菌がすっかり洗い流されてしまい、膣内がアルカリ環境になるリスクが高まるからです。
一方、デリケートゾーンケア向けに販売されている製品であれば、膣の環境を考慮して設計されているため安心です。
外陰部やおりものに異常が見られたときは医療機関の受診をお勧めしますが、まずは、トラブルを起こさないためにもデリケートゾーンケアを行なって、膣内環境をベストな状態に整えておきましょう。
監修 薬剤師 中田早苗
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薬剤師/腸活・膣ケアサポート・ファスティング講師
中田 早苗
薬科大学卒業後、約7年間総合病院で病院薬剤師として勤務。その後、相談薬局にて予防医学の観点から薬を使わない健康法について患者指導を行い現在に至る。食事と生活習慣の見直しから得られる健康に興味を持ち、そのひとつとしてファスティングの魅力に感銘を受ける。便秘やアトピー、自律神経の乱れなどの悩みとファスティングに深く結びつきがあることを実感。現在までに100名以上のファスティングサポートを実施。
資格
薬剤師
ウエルネスファーマシスト(認定運動支援薬剤師)
ファスティングマイスター
美腸プランナー
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薬剤師/腸活・膣ケアサポート
中田 早苗
・ファスティング講師
経歴
薬科大学卒業後、約7年間総合病院で病院薬剤師として勤務。その後、相談薬局にて予防医学の観点から薬を使わない健康法について患者指導を行い現在に至る。食事と生活習慣の見直しから得られる健康に興味を持ち、そのひとつとしてファスティングの魅力に感銘を受ける。便秘やアトピー、自律神経の乱れなどの悩みとファスティングに深く結びつきがあることを実感。現在までに100名以上のファスティングサポートを実施。
資格
・薬剤師
・ウエルネスファーマシスト
(認定運動支援薬剤師)
・ファスティングマイスター
・美腸プランナー