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セックスレスの原因…「性交痛」で悩むあなたへ解決方法をご紹介

2022.04.25

愛を確かめ合うはずのセックスが、さまざまな理由で苦痛や辛さを感じることはありませんか?その原因の一つに“性交痛”が挙げられます。今回は、性交痛が原因で「パートナーとセックスレス」「セックスに満足感を得られない」という方のために、“性交痛”の原因や改善方法について紹介します。

日本人が「セックスレス」になりやすい理由

近年日本では、セックスレスになる夫婦が急増しています。セックスレスの定義としては、夫婦でありながら「セクシュアルコンタクトが1か月以上ない状態」とされています。

 

「ジャパン・セックスサーベイ」の2020年度調査によると、婚姻関係にあるカップルのセックスレスは51.9%という結果があります。つまり、日本の夫婦の約半数がパートナーとセックスをしていないということになります。この数値は2004年には31.9%で、約15年間で20%も増加しています。

 

世界的にみた時、年間のセックス回数が最も多い国は「ギリシャ」で、年間平均164回です。日本は年間のセックス回数が平均48回で、ギリシャは日本の3倍以上です。

 

日本との大きな違いは、ギリシャではセックスを、“神聖なもの”として認識している人が多い点にあります。密なコミュニケーションをとるための大切な手段として捉えられ、日本のように日常会話の中でのタブーな空気感もありません。

 

それでは、なぜ日本でセックスレスが増加しているのか、その原因については下記のような理由が考えられます。



 

理由1. 過労や仕事のストレス

日本では2018年の働き方改革により残業時間の規制が厳しくなったものの、まだまだ労働時間やサービス残業の多い業種が存在しています。それに加え、対人関係のストレスを抱える人が多いのも事実です。

 

このようなことが原因でセックスの回数が減り、徐々にお互いのタイミングがつかめなくなった結果、セックスレスになってしまいます。

 

理由2. 産後クライシス

日本では「産後クライシス」という表現をされますが、出産後に家庭不和に悩むカップルは非常に多いです。

 

産後を起点としたセックスレスの原因は、様々なことが考えられます。一つは妊娠中にセックスを控えていたことによるもの、そして産後のホルモンバランスの乱れによる女性側の性欲減退や体力低下、その他にもパートナーが妻から母に変わったことによる男性側の性欲減退などが挙げられます。

 

また、子どもが生まれてから夫の家事や育児の協力が得られなかったことへの妻側のストレスや、夫の妻に対する見た目の変化への指摘、育児方針の違いなどでもセックスレスに発展します。

 

理由3. 時間の過ごし方の多様化

日本女性は、特に海外と比べて「性」に対して消極的という傾向にあります。それはセックスについて話し合うことや、求めることが“恥ずかしい”という点はもちろんですが、セックスや恋愛以外の関心ごとの多様化も大きな要因です。

 

今では、スマホやパソコンでネットサーフィンやSNS、アイドルとの疑似恋愛など、家にいながら気軽に楽しめるツールがたくさん存在しています。それにより、多くの人が恋愛やセックスから遠ざかってしまい、これが現代の晩婚化を促進している理由でもあります。

 

このように、一人でも楽しめるコンテンツが数多く登場したことで、人間関係が希薄になりがちな現在人の傾向としてもセックスレスの要因に繋がります。

 

日本はセックスの満足度も低い

日本は、セックスレスの問題はもちろん、セックスの満足度も低いことが分かっています。日本では「セックスは子どもをつくるための行為」というドライな考え方や、恥ずかしいもの、タブーな話題という捉え方もされます。

 

そのような考えからパートナー同士の間で、“性行為に関する意見”の共有ができていないことも多いように思います。</

 

特に女性は、“セックスは男性から誘うもの”という固定観念に縛られていて、受け身の立場であることの方が多いです。セックスについての悩みを伝えられず、それによって満足度も低下してしまっています。

 

例えば、セックスの不満や悩みとしてよく挙げられる「性交痛」に関して、実は我慢している女性が多いのことは事実です。次にセックスレスの原因の一つとなる「性交痛」について、その原因と対策について解説します。

 


 

性交痛の原因

その1. 膣の潤い不足 女性は性的興奮を感じると、膣壁の毛細血管が拡張し、血管壁が押されることで潤滑液が流れてきます。いわゆる“濡れる”という現象ですが、性交痛はこの現象が上手く働かないときに起こります。

 

具体的に、体内の水分が少ない場合や十分な睡眠がとれていない、そしてセックスに集中できない、といったことで濡れなくなってしまいます。膣の潤い不足は、しっかり睡眠をとって規則正しい生活をすることで改善が期待できる場合があります。

 

その2. コンドームの素材 コンドームが肌に合わずアレルギー症状を引き起こしてしまうことで性交痛が生じる場合があります。 コンドームの素材の多くは「ラテックス製」か「ポリウレタン製」です。例えば、天然ゴムであるラテックスはアレルギーがある人には不向きです。

 

そもそも、コンドームは男性側が装着するため男性が用意することが多いですが、パートナー任せにせず、女性側も少し意識を向けることも必要です。コンドームには潤滑ゼリーが入っているものや、香り付きのものもあります。お互いに合う素材のものを選んでセックスを楽しんでみて下さい。

 

その3. パートナーシップの欠如 カップルや夫婦はパートナーとして信頼関係にあることが重要ですが、相手に対して気を遣う関係性や対等な立場で話し合うことができないと、お互い満足のいくセックスを楽しむことはできません。

 

相手を尊重し、優しい言葉をかけあいコミュニケーションがしっかり取れていれば、性交痛の悩みも緩和されるでしょう。

 


 

性交痛の解決方法

性交痛の一番の原因は、「潤い不足」です。潤いが十分でない場合、どんなにコンドームの種類を変えても、パートナーとのコミュニケーションをしっかりとっても性交痛の解決に導けない場合が多くあります。ここを改善しないことには、なかなか痛みから解放されません。ここでは、膣の潤い不足を解決するためにできることをご紹介します。

 

1. ストレス解消 男性がストレスや緊張から勃起しなくなるのと同じように、女性も緊張やストレスで濡れなくなってしまいます。しっかり湯船に浸かって体をあたため、アロマの香りでリラックスするのも立派なストレス解消方法です。

 

2. 食生活・生活習慣の改善 「喉が渇かないから…」といって水分をあまりとらない人は要注意です。人間の身体の約60%以上は水分でできていますので、水分が足りていないと分泌される潤いが不足してしまいます。普段から水分をこまめにとり、良質な睡眠とバランスの良い食生活を心がけることはセックスを楽しむ上でも重要です。食生活では、大豆製品を多く摂ると良いでしょう。大豆に含まれる「大豆イソフラボン」が女性ホルモンの「エストロゲン」と似た働きをするので生殖器官を守り、からだにとって良い効果をもたらします。

 

3.セルフケアで潤い不足を解消 水分不足が原因で潤いが不足している場合、水を飲む以外に、膣周辺の保湿も効果的です。手にはハンドクリームで保湿するように、膣まわりにもお風呂やトイレのタイミングなどで定期的に保湿剤(オイルやクリーム)を使用することもおすすめです。

 

4. 婦人科診療で解決 精神的なことでなかなかセックスの悩みが解消されず、生活習慣を見直しても結果が出なかったという方は医療機関を受診する選択肢もあります。更年期などの女性ホルモンの低下が原因の場合は、婦人科の医師と相談して、ホルモン補充療法(HRT)をおこなったり漢方薬を飲んで体質改善する方法もあります。


 

さいごに

セックスの悩みは一人で抱えがちですが、解決に導くためには自分で解決できるものとそうでないものがあります。例えば今回の「性交痛」でも、様々な原因が考えられます。今回の記事で、性交痛に関する悩みを解消するきっかけになれば幸いです。

 

監修 薬剤師 中田早苗

デリケートゾーンのお悩み相談室
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薬剤師/腸活・膣ケアサポート・ファスティング講師

中田 早苗

薬科大学卒業後、約7年間総合病院で病院薬剤師として勤務。その後、相談薬局にて予防医学の観点から薬を使わない健康法について患者指導を行い現在に至る。食事と生活習慣の見直しから得られる健康に興味を持ち、そのひとつとしてファスティングの魅力に感銘を受ける。便秘やアトピー、自律神経の乱れなどの悩みとファスティングに深く結びつきがあることを実感。現在までに100名以上のファスティングサポートを実施。

資格

薬剤師
ウエルネスファーマシスト(認定運動支援薬剤師)
ファスティングマイスター
美腸プランナー

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監修

薬剤師 中田早苗

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薬剤師/腸活・膣ケアサポート
・ファスティング講師
中田 早苗

経歴
薬科大学卒業後、約7年間総合病院で病院薬剤師として勤務。その後、相談薬局にて予防医学の観点から薬を使わない健康法について患者指導を行い現在に至る。食事と生活習慣の見直しから得られる健康に興味を持ち、そのひとつとしてファスティングの魅力に感銘を受ける。便秘やアトピー、自律神経の乱れなどの悩みとファスティングに深く結びつきがあることを実感。現在までに100名以上のファスティングサポートを実施。

資格
・薬剤師
・ウエルネスファーマシスト
(認定運動支援薬剤師)
・ファスティングマイスター
・美腸プランナー