デリケートゾーンのお悩み相談室

見逃さないで!おりものサイン「女性の体調の変化とおりものの変化」

2022.05.02

おりものは女性の健康状態を知る大切なバロメーターです。おりものの状態をチェックすることで不調をいち早く見つけることができます。こちらの記事では、おりものの役割や不調の見つけ方、おりものを最適な状態に保つための方法について紹介しています。

おりものの正体

おりものは、子宮内部から分泌される粘液や、膣内の粘膜部分から分泌される粘液が混じった分泌液で、生理前や何らかの不調が起こると量が増えたり、色に変化が現れたりすることがあります。

 

ニオイ

おりものは少し酸っぱいにおいがします。これは、膣内にいる乳酸菌が乳酸を分泌するためで、決して異常ではありません。女性のホルモン周期によって、ニオイは変化があるのが特徴で、生理前は特にニオイが強い傾向にあります。

 

正常なおりものの量は、一つの目安としておりものシートでカバーできる範囲と考えてみてください。というのも、おりものの量には個人差があり体調変化だけではなくストレスやホルモン周期によっても変化するためです。

 

おりものの量は、女性ホルモンの一つである卵胞ホルモンの分泌量に比例します。なので、思春期は、卵胞ホルモンの分泌が活発でおりものの量は増える傾向にあります。また、妊娠中も卵胞ホルモンの分泌が増えるため、おりものも増えます。一方で、更年期あたりになると卵胞ホルモンの分泌が低下してくるため、おりものの量も減少します。

 

おりものの働きについて

次に、おりものが分泌される理由と働きについて紹介します。

 

雑菌の侵入を防ぎ、清潔に保つ役割

おりものに含まれるデーデルライン桿菌(かんきん)という常在菌は、善玉菌の一種でカンジダ菌などの雑菌が増殖しないように働きます。

 

また、万が一雑菌が侵入してしまったとしても、デーデルライン桿菌によって膣内が酸性に保たれるため、膣からの外敵の侵入を防ぎ、病気を抑える役割があります。
このように、雑菌や病原菌を防ぎ、病気の発症を予防する機能は自浄作用と呼ばれ、女性が健康を維持する上での大切な働きです。

 

スムーズな受精をサポートする役割

おりものの状態は生理周期によっても左右され、量が増えたり粘度が高まったりしやすいのは、特に「排卵期」です。

 

排卵期は、卵管から卵子が飛び出して精子との出逢いを待っている時期で、この時に精子と卵子が無事に出会えることで妊娠が成立します。
ところが、精子は弱アルカリ性、おりものは酸性で相性が良くありません。膣内のおりものが酸性のままでは、精子が卵子に出会う前に死滅してしまいます。

 

おりものは、それを防ぐ目的があり、排卵期に近づくにつれて弱酸性に傾く性質を持っています。つまり、おりものは、妊娠しやすい状態をサポートする大切な役割も担っているというわけです。

 

不調を知らせる役割

おりものは女性の健康とも密接に関係しているため、何らかの不調が起こると、色やニオイ、量などに変化があらわれることがあります。

 

いつものおりものに変化が現れた際には、不調や病気の可能性が考えられます。個人差はありますが、少しでも違う異常を感じた場合には婦人科を受診することも大切です。

 

おりものの状態が悪いと…

おりものは年齢によっても変化しますが、どの年代においても、おりものの変化が特徴的だった場合、からだに何らかの不調の可能性があることを考える必要があります。

 

具体的に、どのような状態のおりものが異常なのか、おりものの状態からみる不調のサインについて説明していきます。

 

白いポロポロとした状態のおりもの

おからやカッテージチーズのようにポロポロとしたおりものが見られる場合には、カンジダ膣炎の可能性があります。

 

カンジダ膣炎は、もともと膣内に存在している「カンジダ・アルビカンス」という病原菌が原因で引き起こされますが、免疫力の低下やホルモンバランスの乱れが生じると、この病原菌が増殖して、症状が現れます。

 

なお、カンジダ膣炎の特徴としては、おりものの変化や強い痒みがあります。これらの症状が現れた場合には、早めに受診することをおすすめします。

 

黄緑色できついニオイを伴うおりもの

黄緑色で気泡が混じり、腐った魚のような生臭いニオイがするおりものの場合には、トリコモナス膣炎の可能性が考えられます。

 

トリコモナス膣炎は、「トリコモナス原虫」が膣内に入り込むことで発症する感染症で、便座などから感染することもあるといわれています。

 

また、外陰部に強いかゆみが生じることもあるため、女性の場合はすぐに異常に気付く場合が多いです。膣以外にも、膀胱や尿道などへ感染する可能性もあり、それによって不妊症やその他の病気のリスクも高まってしまうと言われています。

 

黄色くて粘着性が高いおりもの

黄色くて粘着性が高いおりものが見られる場合には、クラミジア頸管炎の可能性があります。クラミジア頸管炎は性感染症のひとつであるため、女性に異常が見られた場合には、パートナーも感染している可能性が考えられます。
おりものは悪臭を伴い、量が増える傾向にあります。

 

ピンクまたは茶色っぽくて粘着性が高いおりもの

茶色または黒色に近く、粘着性が高いおりものが見られた場合には、子宮頸がんの可能性が考えられます。異常を感じたら早めに婦人科を受診するようにしましょう。

 

良い状態のおりものにするために大切なこと

おりものの状態には個人差があるため、一概に「これが良い状態のおりもの」と言い切ることはできません。また、量が急に増えたというだけでは、それが良くない状態のおりものだという判断もできません。

 

では、おりものの量が増えた場合には、どう対処すればよいのでしょうか。

 

おりものシートを活用

下着の汚れが気になったり不快感などの悩みは、おりものシートで解決することができます。おりものシートは、一般的な生理用ナプキンよりも薄く、ムレにくいというメリットがありますので、上手に活用してみてください。

 

普段から行うデリケートゾーンのお手入れ

おりものがショーツについたままになると、ムレなどで雑菌が繁殖しやすくなります。それによりデリケートゾーンの痒みにつながる場合があります。
普段からデリケートゾーンのお手入れをしておくことで、膣内環境をより良い状態に保つことができるため、おりものの悩みをはじめデリケートゾーンに関連する悩みの解消に役立ちます。

 

なお、デリケート―ゾーンは皮膚が薄く繊細で、粘膜部分もあるため、膣まわりを中心にケアを行うことが重要です。その際は、デリケートな部分にも使用可能なケア用品を使用することが大切です。

 

おりものサインを見逃さないで

今回は、おりものの変化から見る病気のサインを中心にお伝えしました。おりものは、女性の健康状態を知る大切なバロメーターです。

 

おりものには個人差があるため、ただ単に量が増えたから異常というわけではありません。しかし一方で、色やニオイに明らかな変化がある場合では、体に何らかの異常が起こっている可能性を考え、早めに受診する必要があります。

 

おりものは毎日のちょっとした気持ちや体調変化でも状態は変わるので、定期的におりものチェックをしておくことも、体調を知る上で重要です。
また、普段からデリケートゾーンのお手入れを行い、膣まわりの環境を整えておくことも、おりものトラブルを減らすために大切なことです。

 

違いを知ることで早めに異常に気づくことにつながります。毎日を、ベストな状態で過ごすためにも、ぜひ参考にしてみてください。

 

監修 薬剤師 中田早苗

デリケートゾーンのお悩み相談室
デリケートゾーンのお悩み相談室
薬剤師/腸活・膣ケアサポート・ファスティング講師

中田 早苗

薬科大学卒業後、約7年間総合病院で病院薬剤師として勤務。その後、相談薬局にて予防医学の観点から薬を使わない健康法について患者指導を行い現在に至る。食事と生活習慣の見直しから得られる健康に興味を持ち、そのひとつとしてファスティングの魅力に感銘を受ける。便秘やアトピー、自律神経の乱れなどの悩みとファスティングに深く結びつきがあることを実感。現在までに100名以上のファスティングサポートを実施。

資格

薬剤師
ウエルネスファーマシスト(認定運動支援薬剤師)
ファスティングマイスター
美腸プランナー

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監修

薬剤師 中田早苗

デリケートゾーンのお悩み相談室

デリケートゾーンのお悩み相談室

薬剤師/腸活・膣ケアサポート
・ファスティング講師
中田 早苗

経歴
薬科大学卒業後、約7年間総合病院で病院薬剤師として勤務。その後、相談薬局にて予防医学の観点から薬を使わない健康法について患者指導を行い現在に至る。食事と生活習慣の見直しから得られる健康に興味を持ち、そのひとつとしてファスティングの魅力に感銘を受ける。便秘やアトピー、自律神経の乱れなどの悩みとファスティングに深く結びつきがあることを実感。現在までに100名以上のファスティングサポートを実施。

資格
・薬剤師
・ウエルネスファーマシスト
(認定運動支援薬剤師)
・ファスティングマイスター
・美腸プランナー